PAGE TOP

ORBIS Legal Profession Corporation

solution business

 ソリューションビジネス(solution business)とは、クライアントに寄り添うことによって、クライアント(顧客)が抱える明白な課題やまだ顕在化していない課題を明らかにして、その課題をクライアントと共に解決する業務を意味しています。

 多くの場合、法律専門家に過ぎない弁護士の力だけでは解決が困難であり、課題解決に必要な異業種の専門家(公認会計士・税理士・コンサルタント・司法書士・行政書士・不動産鑑定士・仲介業者など)とチームを組んで、お互いの能力やノウハウを出し合って、プランニングを行い、課題解決に当たります。解決に要する時間は案件によりけりですが、通常は数か月、場合によっては数年を要することもあります。

 課題解決には法的手続を利用することが多いですが、裁判所の関与が必要不可欠ない限り、裁判外で進められます。

 

(1) グループ会社の整理

 優良中小企業のオーナー経営者は、事業が成功するに連れて、多方面に事業を多角化する事例が少なくありません。多角化の結果、企業グループ間で株式の持ち合いや金銭の貸借、売買取引がある場合には債権債務(売掛金・買掛金)が発生したり、事業の重複などが生じて、グループ会社の資産管理に支障を来したり、経営効率を測定できないという問題が生じることがあります。

 やはり何年かに一度、定期的にグループ会社を俯瞰して、整理することが必要だと思われます。グループ会社の再編というのは重大な課題ですが、日常業務に専念していると、ついつい、ずるずると見過ごしてしまうことも多いものと思われます。

 会社分割、合併、会社の解散、不動産の譲渡、債権譲渡など手法は多岐にわたりますが、あくまでも中心となるのは経営戦略です。経営者と十二分にコミュニケーションを行い、明確な経営戦略を立ててもらって、戦略にマッチした組織再編を行います。その際には、法律上、どのような手法があるかについては弁護士、どのような租税公課が発生するか、納付額はどの程度かなどについては税理士、商業登記については司法書士、不動産の適正な評価額については不動産鑑定士などが計画と履行の両方に関与することになります。

(2) 事業承継

 近時、事業承継を目的としたM&Aが盛んです。昔のように子どもに会社を継いでもらう事例は徐々に少なくなっていますが、やはり苦労して育てた事業を子どもに継いで欲しいというオーナー経営者もたくさんおられます。どの事業を子どもに譲渡し、どの事業を従業員や他の第三者に譲渡するかというのも、オーナー経営者にとって重大な課題です。

 このような事業承継も基本的には上記(1) に記載したような手法で課題を解決しますが、信託という法制度を利用して、会社の支配権をオーナー経営者に留保したまま、オーナー経営者が後見できるような形態を作って、子どもらに事業譲渡するという方法もあります。

(3) 相続対策

 グループ会社内に赤字会社があったり、グループ会社間の債権が実質的に額面ほどの価値がない、あるいは価値が全く無くても、グループ会社を整理しないまま、不幸にもオーナー経営者が亡くなった場合、通常、実質的価値ではなく、額面価額で評価されて、巨額な相続税が課税されることがあります。

 その結果、相続税の支払に難儀したり、最悪の場合には事業の継続を断念せざるを得ないということになりかねません。

 このような場合に備えて、やはり定期的にグループを構成する個々の会社の整理を行っておくのが得策です。その具体的方法は基本的に上記(2)に記載したとおりです。

 上記(1)ないし(3)は、いずれもわれわれ弁護士が通常の法律業務を取り扱っている際に遭遇する問題です。残念ながら、遭遇した段階では「時既に遅し」で、手の施しようがありません。転ばぬ先の杖、健康診断のように定期的に診断を受けて、治療を施しておくのが得策です。

(4) その他

 課題が外部に表出しておらず、潜伏していることも珍しくありません。上記(1)ないし(3)に該当しなくても、会社経営上、尋常ではない支障が生じているときは解決すべき課題があるものです。そのようなときにクライアントに寄り添うことによって、クライアントが抱える課題を明らかにして、その課題をクライアントと共に解決するのがソリューションビジネスです。